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第6回 シアトルより想いをこめて 「ご近所のアメリカ人」

2002.9.21

エバとアリスンはご近所に住む若い夫婦だ。エバはワシントン大学で修士を取得後、大学の研究員として働いている。彼の若くて可愛らしい 妻アリスンは、6歳と3歳になる二人の男の子達の子育て真っ最中だ。彼らは、美しい森と庭に覆われた1万数千坪の広い広い敷地を擁する 素敵な家に4人で暮らしている。

ぼくとの最初の出会いは、アリスンが子供を連れて朝の散歩途中、ぼくの家を突然に訪れてくれたことに始まる。ぼくが日本人であることを知ると、 日本文化に関心を持つ彼女は、ちょうどあくる日に予定していた自宅でのバーベキューパーティーにぼくを誘ってくれた。好奇心と遠慮心とが半ば しながら、たまたま日本から来て滞在中のぼくの友人も伴って、彼らのホームパーティに加わることになった。

この日集まった数組の彼らの友人家族は、皆一様にフレンドリーで気のいい仲間達だ。ぼくとぼくの日本の友人は、言葉も覚束ないままであるが、 自然にうちとけて彼らの中に加わることができた。広い庭にしつらえたバーベキューコンロに炭火を起こし、ソーセージ、トウモロコシ、ジャガ イモ、ピーマン、玉ねぎ、ねぎ間、といった物をつぎつぎと焼く、最後に、それはそれは大きな肉の塊を串刺しにしてこんがりと焼き、 それを切りさばく。台所のオーブンでは、キングサーモンがほどよく焼きあがっている。といった按配で、子供も大人も広い庭を動き回りながら、 ときには三々五々散歩もしながら、夏の長い夕どきを過ごす。それに何よりもぼくが驚き、羨ましく思ったのは、この家には地下にワインセラー があって、数百本、否、千本を超えるかも知れないめずらしいワインが貯蔵されていたことだ。もちろんぼく達もその幾本かの美味しいワインを ご相伴にあずかった。

とっぷりと日が暮れて暗くなるまで、大人も子供もワイワイガヤガヤだ。緯度の高いシアトルでは、夏の日没は特に遅い、暗くなるのは 10時過ぎになる。結局ぼくらは6時間もガーデンパーティを楽しんだことになる。

ところで彼ら夫婦は子供達のほかに、実にさまざまな動物達とも一緒に暮らしている。イヌ、ネコは言うまでもなく、ウサギ、ニワトリ、 アヒル、小鳥、などなどが広い庭ではあるが一緒になってくらしている。ネコだってニワトリの雛やウサギを追いかけたりはしないし、 人間のバーベキューから肉やソーセージを失敬することだってしない。なんとも長閑な動物達なのである。躾が行き届いているのか、 飼い主の生き方に似て穏やかでゆったりとしてくるのか、どうにもぼくには分からない。それに6歳と3歳になる二人の男の子も動物達と同じく、 はだしで庭を飛び回っている。全くの自然児だ。もちろん泥まみれにもなるし、些細な怪我も多い。

自然の中に自然と共にくらしている。その機能的で美しい家のたたずまいや、知的階層である彼の外の姿からは想像がつかない。 そのコントラストがなんとも面白い気がする。自然との共生を、家庭生活の中にすっかり取り込んでいる様子に驚きや感心を通り越して、 うらやましくさえ思えてきた。彼らは人間に対してもおおらかで優しく、けっして気取ったところがない。







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