神護寺ホーム

神護寺のご案内

年中行事とイベント

和尚さんからの便り

教えて!和尚さん

和尚さんへ一言

ご祈祷と各種お守りお申し込み

フォトギャラリー

神護寺への道案内

和尚さんへお手紙


和尚さんが日ごろ感じたことや、思ったことを日記にしています。
和尚さんからの便り、どうぞお気軽にお読みになって下さい。



第23回 「神護寺の新境内」

いよいよシアトルも本格的な夏のシーズンですね、快適とも言えるからっとした暑さ、日照時間の長さ、そして夜の冷え込み、日本の蒸し暑さとはま るで違うシアトルならではの過ごしやすさです。街中のいたるところ、そこここに色とりどりの花が咲き乱れ、かっと照りつける太陽の下その美しさは 増すばかりです。何か体中からエネルギーが沸いてくるようで、シアトルがいちばん輝きを増す季節ではないでしょうか。

おかげさまでシアトル神護寺もこの地の皆様に少しづつ親しんでいただける存在となり、お正月や節分祭などには、特に若い人たちが多くお参りを 頂き小さなお堂に入りきれないほどにもなりました。日本を離れて異国の地で暮らす若い人たちが必ず感じることは、日本の伝統文化の再発見であり、 その大切さであります。良き伝統や習俗、年中行事といったものの中に、心の安らぎが秘されていると言うことに気がつくことです。このことは日本で 暮らす皆様方にとってもとても大切なことでありましょうが、それは外から振り返ってみてあらためて解ることなのかも知れません。

また、神護寺が参画したシアトルアジア美術館における密教の修法と声明による開眼法要、シアトル日本庭園における声明公演も、多くのアメリカ人に 高い関心と感銘を与えることができました。日本からわざわざ参加を頂きご協力いただきました方々に感謝を申し述べるとともに、この地における 東洋や仏教、そして密教への関心の高まりを感じ取った次第であります。また、春5月16日に日本からの一行を迎えて開いた野点茶会も、日米交流の 良き機会となり、共に楽しいひと時を過ごすことができましたし、お茶会という場を通じて私たちがより自然の大切さを感じ、自然に親しむことの 心地よさを感じ取ることができたように思います。

いまやアメリカにおいても、私たち人間が宇宙自然の生命の懐に抱かれて生かされているという密教的神秘が思想の先端となってきています。 奇跡に不思議を見るのではなく、野の花がひとりでに咲くという当たり前の自然の中に生命の不思議を観じ、深い神秘があることに人々はようやく 気がつき始めたのです。

混沌とした世界情勢の中、今私たち人間社会が必要としているものは、決して物量やお金、功利性などではなく人を安らぎに導く心と生活の習慣 にほかなりません。歴史の浅いアメリカ社会は、まだまだ伝統に培われた生活習慣や人生の型というものに乏しい気が致します。小さくても端正 なたたずまいがあり、静かな立ち居振る舞いの中に内面的な美を見出すという日本的な暮らしに安らぎを感じ取るアメリカ人も確かに増えてはきま したし、以前のように家や車の大きさ、豪華さだけを誇らしげにするような生き方に疑問を抱く人々も多くなってきたことは事実です。しかし、 社会全体を眺めて見たとき、工業的、経済的、そして軍事的には成長を成し遂げたアメリカではありますが、人間社会の成熟度、人間社会の深ま りといった点では、まだまだ未熟といわざるを得ません。私は、そのような物と心のアンバランスが今回の戦争をも引き起こしているように思われるの ですが如何でしょうか。古い言葉かもしれませんが、武士道精神というものがあってこそ、刀も尊厳を保つ法器となり得るのであり、騎士道精神、 ナイトの誇りがあってこそ剣も美しいのです。

私は、今のブッシュ大統領には、人間の尊厳とか気品といったものは全く感じられません。ただ自分達だけが一方的に正義であるが如く吼えるのみで あり、武士道精神、騎士道精神というものを窺うことができないのです。今日、私達日本人が貢献すべき分野は、やはり森羅万象に仏性を観じとる たおやかな精神性を世界に示すことをおいて他にはないと思うのです。かつて千余年前の日本もまた、鑑真和上や弘法大師等によって唐(中国) や百済(韓国)から仏教を始めとする多くの文化を伝来し、その後の日本社会の基礎となる精神的支柱を確立いたしました。

私は、今のアメリカ社会においてますますシアトル神護寺の存在が必要とされていることを痛感しております。一人ひとりの小さな思いや心が、 波動となって必ずや社会全体につながり、世界に広がっていくことを信じています。







Copyright© 2006 Jingoji. All Rights Reserved.