
和尚さんが日ごろ感じたことや、思ったことを日記にしています。
和尚さんからの便り、どうぞお気軽にお読みになって下さい。
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第30回 「カスケード山脈」
今年のシアトルは異常なほどに暖かくカスケード山脈の雪も多く解け出しています。いつもの年なら5月ごろまでは楽しむことのできる近郊のスキー場も
すっかり雪がなくなり早々と閉鎖されてしまいました。雨が多いはずのこの時期にしては晴天が続き、桜はもう散り始めています。ここでは梅、
桜、桃が一時に咲きそろうのですが、その中でもやはり桜花の寿命はいちばん短く早々と舞い散っていきます。春の最初に花を覗かせたはずの
クロッカスがまだまだ元気に咲き誇っているのと比べても、桜は花の命の短さゆえになおいっそう私たちの心を惹きつけるのでしょうか。
シアトルの晴天に対してカリフォルニア州では大洪水、大きな被害を出しています。雨の多いはずのシアトルに雨がなく、雨の降らないはずの
カリフォルニアに大雨とはまったく皮肉なものですが、これも異常気象のせいなのでしょうか。
日本でも新潟県などでは昨年の地震、今年の大雪と重なって大変な被害が出ているようですね。地球温暖化に起因する気候の異常は、
いまや世界中のあちこちで起きているようでもあります。
今日の科学技術の進歩は目覚しく、飛行機が発明されてからたったの百年しか経たないにもかかわらず、今では東京からシアトルまで8千キロの距離を
8時間余りで飛んでしまいます。私もこの科学技術の恩恵にあずかって日本とアメリカを年に何度も往復することができます。しかしそれは途方も
ないほどの量のエネルギーに支えられていることもまた事実であります。ともすれば当たり前に思っている現在の豊かさや便利さの中での人間の生活が、
地球生命には多くの負担をかけてしまっているのかもしれません。
めっきり雪の量が少なくなって黒い地肌の部分が増したカスケードの山並みを遠望しながら、それが若し現代社会の豊富さと利便性によってもたら
された結果であるとしたならば、私たちはもう少し謙虚にならなければならないのではないだろうかと思ってみたことです。
私たちは、自然の懐の深さに包まれて、地球気象の変化を然程の危機感もなく過ごしているように思われてなりません。
いま、カスケードの山々からは雪解け水がとうとうと流れ落ちてこの地方の広い大地を隅々まで潤し続けています。今夏の水不足が心配される中、
シアトルの美しい緑の森を散策しながら、人の優しさと自然の懐の深さをもっともっと大切にしていきたいと心に感じています。
シアトル神護寺の本堂の建築工事は、春先のお天気にも恵まれて少しづつ進捗しています。今夏の完成を待つこととなりました。
ご支援をいただいております皆様方に深く感謝申し上げます。
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